第四講義「時代劇(決め台詞)紹介 其の二」

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久しぶりの講義です。
一部で好評という噂がなきにしもあらずの時代劇決め台詞紹介、其の二です。
…と言いたいところですが、
今回のテーマは元水曜枠(現在は「火曜時代劇」)のフジテレビ系時代劇です。
この局の作品は、池波正太郎先生の作品が原作のことが多く、
基本的に決め台詞が存在いたしません。
ですが、どの作品も光の陰影が美しく、話も人情味に溢れており、他局とは毛色の違う作品を作っております。
いわば、玄人好みの時代劇と言えましょう。

…例によって、あまり信用できない情報です。誤字なども多発している可能性あり。


元水曜(現火曜)枠(フジ系)

「鬼平犯科帳」(20:00)

もはや、時代劇の代表格とまで言われるようになった名作です。
当然、フジの時代劇を代表する作品でしょう。
また、フジの作品の特徴として、中村一派と江戸屋一派の面々が強く、
同じ役者が複数の作品にまたがって出演することもしばしば。
まあ、視聴者からの要望が強いことも影響しているのでしょう。
原作は池波正太郎の「鬼平犯科帳」、世に火付盗賊改方の存在を知らしめた作品ですね。
池波先生が亡くなられ、既に原作のほとんどを番組化してしまったため、
おそらくシリーズとして続編が作られることはないと思われます。

話は池波先生の作品らしく、特徴的なストーリーです。
最後のシリーズが放映された後、視聴者から何とか続けてくれと局に嘆願があったほど。
陰影の美しさは玄人ものですが、逆に暗すぎて見にくいときも。
まあ、これはテレビの明るさ調節で対応しましょう。
エンディング曲の「インスピレイション」はシリーズ通して変わってないはず。
この辺りも味なんでしょう。

冒頭の口上は
「いつの世にも、悪は絶えぬ。このころ、徳川幕府は、火付盗賊改方という特別警察を設けていた。
凶悪な賊の群を、容赦なく退治するために。
独自の機動性を与えられた、この火付盗賊改方の長官こそが、長谷川平蔵。
人呼んで、鬼の平蔵である」
主演  中村吉右衛門 梶芽衣子 江戸屋猫八 左とん平 江戸屋まねき猫 蟹江敬三

決め台詞

一応それらしいものもあるにはあります。
長谷川(中村)「火付盗賊改方、長谷川平蔵である。神妙に縛につけい!!」
ときには、
「手向かう者はたたっ斬れ!」
というのもつきます。ここら辺が、町奉行所と違うところでしょう。
日本男児は鮮烈な印象を焼き付けられること請け合いです。

「銭形平次」(同上)

これもまた、知らぬ人とていない名作ですね。ただ、池波正太郎作品ではありません(多分)。
フジ系では珍しいことです。
ただ、既にだいぶ前に「銭形平次ファイナル」と題して放送されており、もう続編はないでしょう。

実は時代劇界では珍しいことに、この作品は本格的サスペンスなんです。
すなわち、犯人が誰か分からないまま終盤まで行くわけです。
この辺りは好きでしたね。マンネリにならないですから。
もちろん、最後は寛永通宝をシュシュシュシュと投げつけて、相手が倒れたところを縄に掛けます。
…しかし、どうしてあれで倒れるのやら。

主題歌はご存じ「銭形平次」(歌 北王子欣也)、元の曲は舟木一夫(愛知県一宮市出身)が歌っております。
お〜と〜こだったら〜 ひとつに〜かける〜(中略)誰が呼んだか〜誰が呼んだか銭形〜平〜次〜
のフレーズは、おそらく日本人の四割は知っているフレーズでしょう。
主演  北大路欣也 三波豊和 真野あずさ 伊東四郎

「隠密奉行 朝比奈」(同上)

フジ系の中では比較的新しい番組になろうかと思います。
これも多分池波正太郎作品ではないと思います。(調べろよ)
おそらく銭形平次シリーズの続編として作られたのだろうと思いますので、
まだまだ放映するだろうとは思いますが、なにぶん欣也人気がねえ……いえ、別に。

ストーリーは、幕府大目付の朝比奈河内守正清(偶然にも城主と同じ官位)が老中から密命を受け、
諸国に隠密奉行として潜入、調査するという破天荒な物語。城勤めはいいのか、城勤めは。
というか、普通、他の時代劇ではこの仕事は御庭番などが行う仕事です。
他に、妻の萬田久子が地方の特産物をねだったり、
鶴田の目付から朝比奈の動向を探る密命を受けた職務怠慢の御小人目付が唯一のお供となるのがメイン。

なんか駄作みたいに書きましたが、さすがはフジですね。見所もあります。
オープニングの映像が毎回違います。
その回の舞台となる土地の名所の映像がオープニングで使われ、これがなかなか美しい。
ま、お国柄指向がウリですかね。
あと、金田の職務怠慢御小人目付の不幸ぶりも楽しいですよ。
主演  北大路欣也 萬田久子 船越英二 鶴田忍 金田明夫

「剣客商売」(同上)

鬼平犯科帳の跡を継ぐ作品と言えるでしょう。もちろん池波正太郎原作です。
出演者がだいぶ鬼平犯科帳とかぶっており、見方によっては保守的です。
まあ、玄人の時代劇視聴者向けならそれもいいかもしれませんね。
題名通り、天下泰平の江戸時代の剣客たちが、自分の技を売り込もうとしているという
微笑ましい展開も多い作品ですね。自己宣伝という現代に通じるテーマでもあるのでは?

ストーリーは鬼平と同じ指向が感じられます。ですが、そこは主人公の属性が違うところが面白み。
鬼平は剛気な親玉という感じでしたが、今度は田舎住まいの老剣士(ちなみに無外流)。
テーマ通り、流石に金には聡いです。
息子の渡部篤郎は弟子のいない道場を持つ堅物ですが、
父親は、老齢ながら20代(?)の嫁と再婚し、精力バリバリのおやっさんです。
また、田沼意次が支援者であり、その可愛くも男勝りな娘が弟子というところも。
田沼の娘さんは、最近息子の方に惹かれてますが、息子は修行中(2001年7月現在)。
嫁の方は、負けじとウナギで夫の精力増進に躍起です。
他にも女性が加わり、老人を取り合って女たちがすさまじく争うというのもありますが、
田沼が支援者と言うところでも分かるとおり、貨幣経済的な時代劇です。(どんなだ)
…しかし、田沼失脚後は娘さんどうするのだろう。

ま、それはいいとして、橋爪功をナレーターに語られる冒頭の口上は、
「戦国乱世は、遠い昔の事ながら、武士の魂、やはり剣。
あえて戦がなければこそ、腕に覚えの剣客どもは、売り込み合戦に明け暮れた。
いやまさしく昨今、剣術は、商売なり」
主演  藤田まこと 大路恵美 渡部篤郎 三浦友和 小林綾子 江戸屋猫八 梶芽衣子 蟹江敬三

「雲霧仁左衛門」(同上)

ただ一回放送の、池波正太郎の名作を原作にした作品。
これはかなり面白い。シリーズじゃないのが惜しいです。
これもまた、鬼平と出演者がかぶってますが、先述通り、いいでしょう。
やはり光の使い方が上手い作品でしたね。演出もいいのですが、
主演の山崎努がはまり役ですわい。ていうか、彼しかできないでしょう。この役は。

ストーリーは、天下の大盗賊雲霧一党と、火付盗賊改方の安部式部との対決。
ただね…原作は火付盗賊改方が主役なんですよ。どうも悪役的に脚本を書いていた気が。
ま、それはいいとして、
雲霧一党は、後に書く口上の通り、一人も殺さずに盗み働きをする秩序ある盗賊。…なんか変な表現ですが。
でも、義賊じゃありませんよ。金を庶民に配るみたいな偽善行為はしません。
主人公の仁左衛門自体が謎めいたキャラで、その出自もはっきりとは放送されてない…気が。
ただ、原作をたどれば、伊勢の藤堂家に仕えていた武士ということになりますね。
申し訳ないのですが、テレビ版の結末をよく覚えていないのです。
ま、結末は原作を読んで下さいね。…ストーリー違うけど。

冒頭の口上も、なかなか渋いです。
「江戸中期、江戸市中はもとより、関東一円、東海道、中山道、上方にまでにおいて、
盗み働きを働く、盗賊一味があった。
一人も殺さず傷つけず、まるで雲か霧のように消えてしまうことから、雲霧一党と人は呼ぶ。
その首領は仁左衛門、対する、火付盗賊改方の長官は、旗本安部式部。
二人の知恵比べとも言える対決が、今始まろうとしていた」
主演  山崎努 梶芽衣子 江戸屋猫八 …ちょっと忘れちまいました(またか)

「御家人斬九郎」(同上)

忘れてました。これを差し置いて、フジ系時代劇は語れません。
これも池波正太郎作品ではなかったはずです。(だから調べろって)
既に何度もシリーズ放映されています。役者も大きくは変わっておりません。
徳川一門でありながら、御家人では最低待遇の三十俵二人扶持という貧乏御家人が、
本来は禁止の副業、それも「片手技」という首切り仕事で生活費を稼ぐという展開。
まあ、あまり首切りがストーリーに出ることはないですけど。

これはかなり笑える作品ですよ。オカルト色の強い渡辺鎌の芝居もさることながら、
母親の岸田今日子との掛け合いがまた面白い。
放蕩息子に金を稼ぐように長刀を持って脅迫し、煮干しを飯にしながら嘆き、
金が転がり込めば、八百膳(江戸の高級料亭)の料理で美食したりと、すごい経済感覚の一家です。
ちょっと前のシリーズまでは、屋敷に重箱を持ってくる許嫁のお嬢さんもいましたが、
鎌がうかうかしている間によそに取られてしまいました。…まあ、鎌にはその気はなかったようですが。
というのも、芸者の蔦八といい仲ということのようで。…可哀想な許嫁だ。
…ちなみに、徳川一門ということで、よその旗本御家人からは結構尊ばれています。
なかなかそのミスマッチも面白くて上出来。

いやあ、時代劇に出ている女性の中で、ここでは深川芸者の若林麻由美が城主としては一推しです。
立っているだけでも気品漂い、役柄でもなかなか…っと、役で人格を決めてはいけません。
特にNHK金曜時代劇の時の役が一番よかったね。…って、これじゃ紹介になっとらんだろ。
主演  渡辺鎌 若村麻由美 岸田今日子 塩見三省 阿部寛

他にも、大河の「元禄繚乱」に影響されての「忠臣蔵」(主演 北大路欣也)など、
非シリーズものは結構あります。

…まだあったような気も。誰か覚えていたら教えてな。

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